胸に秘めた譲れない情熱

 こんにちは。のっぴです。

 

 楽しみにしていたラブライブ!スーパースター!! Liella! 4th LoveLive! Tour 〜brand new Sparkle〜』も終わり、Liella!としては一段落といった感じでしょうか。次のライブまで少し時間が空きますが、対照的にLiella!が好きな気持ちはどんどん増幅しているように感じます。幸せですね。

 本記事のテーマは「茜心」

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 茜心は、2ndアルバム『Second Sparkle』に収録されているメイのソロ曲です。ピアノをメロディラインにした全体的にかっこ良い曲ですが、その歌詞も興味深く感じられます。ライブの感想を交えながら、茜心の好きなところを語っていきたいと思います。

 

 よろしければ最後までお付き合いください。

 

 

①はじめに

 まずはライブお疲れ様でした。

 ソロ曲やユニット曲をはじめ、初披露づくしとなった今回のライブ。TVアニメを背負った内容ではないにしろ、3期生として初めて立つステージだったり、幕間で描かれたマルガレーテと冬毬のエピソードだったりと、ある意味「2.5期」と呼んでも差し支えない内容だったと感じています。2期生が先輩として3期生にスクールアイドルの魅力を伝えようとする姿からも、彼女たちが1年を通して成長した姿を感じられて良かったです。開演前は「期待しすぎかな」と思うくらい楽しみにしていましたが、Liella!は期待以上のパフォーマンスで応えてくれ、本当に楽しく大満足のライブでした。

 大好きなBlooming Dance!Dance!も無事に受け取ることができて嬉しかったです。

 特に後半に披露されたHoshizora Monologue→私のSymphonyの流れは、まるでTVアニメの物語を30分で一気に振り返ったかのような、これでもかというほどLiella!を凝縮した5曲でしたね。個人的には、先輩たちが優勝した姿と2度目の奇跡への決意を見せたのち、満を持して3期生が私のSymphonyを歌い始める物語性が大好きです。

 

 私は今回のライブでとりわけソロ曲に注目していました。1期生にとっては持ち曲から成長した姿を見せる機会ですし、2期生にとってはソロとして初めて歌うステージです。Liella!として披露する曲もとても魅力的ですが、ソロ曲はそのメンバーの個性や世界観を会場いっぱいに満たすような、他とはまた違った魅力があると思います。

 幕間でもメイが言及していましたね。

 そして、特筆すべきはメンバー間の関係が垣間見えるような演出が多かったことです。星屑クルージング→Starry Prayerや、君を想う花になる→Free Flightのような直接的な演出はもとより、ミッドナイトラプソディの冒頭で青山なぎささんと鈴原希実さんが一緒に踊っていた光景は、「ずっと遠い世界の人だと思ってたっすから」と言われていた恋ときな子の距離感が縮まったように感じられて、とても感動的な一節でした。

 そんな魅力がたくさん詰まったソロ曲ですが、推しである恋のミッドナイトラプソディとともに大好きな曲が、2期の物語を通して推しになったメイの茜心です。ライブの感想はほどほどに、メイのパーソナリティに触れつつ、茜心の魅力を探索していきたいと思います。

 

 

 

②譲れないもの・責任感

 メイの好きなところはたくさんありますが、私が特に引かれているのは胸の内に譲れないものを持っているところです。

斜に構えた、一見とっつきにくい不良っぽい女の子。そのせいか、周りから怖がられることも多いが、若菜四季とは不器用な者同士、つかず離れずの関係を続けている。正義感が強く、間違ったことがあると毅然とした態度で立ち向かう一面も。

メンバー紹介 | 「ラブライブ!スーパースター!!」公式サイト より

 メイは「正義感が強く、間違ったことがあると毅然とした態度で立ち向かう一面も。」というメンバー紹介をされています。メイの正義感を端的に表した一文だと思いますが、裏を返せばそれだけ彼女の中に譲れないものがあるといえるでしょう。

 メイの正義感は他人を思いやれる性格と相まって、作中で描かれた通り誰かの背中を押すことにもつながっています。ただ、それはあくまで他人の背中を押す場合であって、メイ自身のことになると話は変わってくるようです。そんな「他人の背中は押せるのに自分は一歩を踏み出せない」という二面性は、私がメイの性格でずっと疑問に思っていたことでもありました。

 

 しかし、その二面生がメイの良いところ。

 メイが自分事になると葛藤してしまうのは、彼女が憶病であるというより「信念にまで昇華された譲れないものがあるから」といえます。そして、恐らくメイもそのせいで不器用なことを自覚していて、彼女自身が臆病になってしまう一因になっているものと思われます。しかし、その「譲れないもの」が誰かの背中を押せる優しさでもあるし、「中途半端な気持ちでやりたくない」という厳しさにもつながっていると思うんです。

Liella!の力になれないなら、スクールアイドルやるつもりはない。少なくとも私はな。

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期 第6話「DEKKAIDOW!」 より

 ラブライブ!的なスタートラインとしては「やりたいからやる」で正解だと思いますが、メイの場合はもう一歩進んで「『やりたいからやる』だけで責任を持てるのか」という気持ちがあると思われます。そんなメイの好きな言葉が「一生懸命」なのも、始めたからには全力で貫こうとするような姿勢から彼女らしさを感じられて良いですよね。さらに、メイのひたむきさはSecond Sparkleにおける彼女のパートでも表れています。

新しい未来 この手で切り拓け
強がりも貫けたなら
本当に変わるから

 メイの他人に対する優しさや臆病な側面は、一度決めたら一生懸命な彼女の信念由来のものかもしれません。

 

 

 

③一生懸命になれる理由

 茜心の歌詞は、特定のメンバーに語りかけているように感じられる箇所があります。しかし、茜心はメイのソロ曲。歌詞全体を眺めてみると、メイのパーソナリティが強く表現されているフレーズも多く散見されます。他メンバーがメイに大きな影響を与えているのは事実ですが、まずは彼女本人に焦点を当てて考えてみましょう。

流されたくないよ
流されてく方が簡単さ、でも
好きなこと忘れて
新しい夢とかみれない

 茜心は、メイが流されることに葛藤する場面から始まります。「流されたくないよ」という歌詞は裏を返せば「流されそうになっている」わけで、それを振り切ろうとしている姿からメイの信念を感じられます。具体的にシーンを限定させるのは難しいですが、TVアニメでもメイがスクールアイドルを始めるにあたって葛藤している様子が描かれましたね。

私はスクールアイドルなんか興味ねえんだ。

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期 第2話「2年生と1年生」 より

 メイがスクールアイドルに勧誘された際はその興味を否定していましたが、彼女がスクールアイドルに興味がないわけがないのは自明です。さらに、「スクールアイドルになりたくて結ヶ丘女子高等学校に入学した」という動機は、四季の口から語られています。

メイがこの学校を選んだのは、スクールアイドルをやってみたいって思っていたから。

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期 第4話「科学室のふたり」 より

 もちろん本人の目つきの悪さや不器用な性格ゆえの「向いていない」という気持ちはあると思いますが、「自分が加入することで崩れてしまう恐怖」を強く感じていたと思われます。だからこそ、一生懸命になれる理由を持てないまま、スクールアイドルを始めることに積極的になれなかったんだと思うんです。「流されたくないよ」の一言にも、色々なものが詰まっているように感じられますね。

 

 しかし、メイの憧れはそんなことで消えないものでしょう。確かに一歩を踏み出すことに臆病になっていた側面はありますが、メイの憧れは彼女の「譲れないもの」として大切に温められてきたはずです。

雨に晒されても
汚れない気持ちは絶対にある
どんなに後だって
拾いあげてみれば輝く

 ただ、その憧れがだんだんと苦しくなっていった様子も見受けられます。ファン出身メイは、これまで推しを応援していく過程でたくさんのものを受け取ってきたことと想像されます。それはラブライブ!が好きな私たちにとっても共感できるはずで、「何らかの形で推しに応えたい」と思うのは実に自然な考え方でしょう。

思い出してる あの時僕に
希望をくれたともしびの星座
見上げるだけじゃ
もう何も返せない 繋ぐタマシイ

 そういう意味で、「見上げるだけじゃ もう何も返せない」という歌詞は、私たちとしてもすごく腑に落ちる印象です。そして、メイは最終的に「Liella!の力になるためにLiella!に加入する」という回答で応える選択をします。これは臆病なメイにとって「一生懸命になれる理由」にもなっており、彼女が本格的にスクールアイドル活動を始めるきっかけにもなったものだと思うんです。

 このように、茜心にはメイのパーソナリティが多く散りばめられているように感じられます。では、これらを踏まえたうえで、次はメンバーとの関係にフォーカスしてみます。

 

 

 

④他メンバーとの関係性

 薮島朱音さんは以前インタビューにて茜心の印象を語っていました。

ファンの方が曲に関して考察してくださっていて、四季ちゃんとメイちゃんはいろいろ仕掛けがあったりしたんですけど、でもメイちゃんと四季ちゃんだけじゃなくて、「この曲ってメイちゃんときな子ちゃんにも当てはまるよね」とか、そういった意見を見てわたしもなるほどと納得していました。

薮島朱音「Liella!とみなさんは“相思相愛”そのもの」/Liella!スペシャルリレーインタビュー【音楽編】7 より

 茜心をはじめ、『Second Sparkle』に収録されているソロ曲は、多方面から解釈することができる曲が多いように感じます。歌詞の解釈に絶対はないと思いますが、茜心にもいくつか特定のメンバーを示唆するような歌詞があります。

間違いじゃないなら曲げるなよ
信じたいもの信じてればいい 熱く
君の情熱茶化さない
思ったままでいいよ

 サビの歌詞は、メイの性格がとりわけ強く出ているように感じます。TVアニメでも「本気で優勝を目指そうとするLiella!」に憧れたきな子に、「だったらそのまま突き進んでくれよ」と背中を押すシーンがありますね。

 対照的に四季がメイをLiella!に引き込む目的で体験入部していた時は、機嫌を損ねて帰ってしまう様子も見られました。

ふん。嘘つくな。帰る。

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期 第4話「科学室のふたり」 より

 こういったところからも、(自分を含めて)適当を許したくないメイの性格が垣間見えるようです。

 

 また、当初から茜心にはガラスボールリジェクションとの「仕掛け」が示唆されていました。具体的にどこにどのようなギミックが隠されているのかは想像の余地もありますが、Cメロの歌詞は互いに呼応しているような印象を感じられます。

変われない自分を責めたりしないで
本当の願いを見せて
今なら叶うさ 独り言のように呟いた

素直に笑えない 笑わなくていい
ガラスボールの中でなら
だけどね、気づいた
君がそばにいてくれたから

 Cメロが本当に互いを意識した歌詞なのかは分かりませんが、メイや四季にとって互いが互いに影響を及ぼしていたのは事実です。「今なら叶うさ」という歌詞からは、不器用な者同士手を取り合って変わっていく(=Liella!に加入する)選択をした科学室でのエピソードが思い出されます。もちろん茜心はメイのソロ曲なので自分に言い聞かせているような聴き方もできますが、他メンバーを意識するとより解釈が広がって面白く感じられますね。

 

 

 

⑤胸の微熱を抱きしめて

 私は曲中で微妙に変化する歌詞の違いがすごく好きなんですが、茜心の変化は他の曲と比べて少し特徴的に感じられます。

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 下線で示したフレーズが変化した箇所です。誰かに語りかけているような歌詞から自分に言い聞かせるような歌詞に変化していますが、「間違いじゃないから曲げないよ」という文意としてはほとんど変わっていないようにも感じられます。また、過去形が未来形に変わっているのも特徴的です。

 本記事でも何度か話題にしましたが、メイは胸の内に譲れないものを持っています。メイの「譲れないもの」は「スクールアイドルが好きな気持ち」「適当を許したくない正義感」などに言い換えられると思いますが、これらの思いは彼女がLiella!に加入した後も持ち続けている様子が見られましたね。

 歌詞が過去形から未来形になっていることを踏まえると、メイは「これまで大切にしてきた気持ちをこれからも大切にしていくというプライドのようなものを持っていると思うんです。

 メイの「譲れないもの」は、必ずしもプラスに働いていたわけではありませんでした。他人に対して不器用なところや一歩を踏み出せない臆病さだって、「譲れないもの」と無関係ではないでしょう。しかし、その気持ちのおかげで大好きなLiella!で「一生懸命になれる理由」を見つけられた経験があるから、マイナスな側面だってメイにとって大切な思い出になっているはずです。

欠片になった遠い過去も
大切に抱きしめて

 ただ、メイは過去だけを大切にしているわけではありません。茜心にも「明日感じてく」という歌詞がありますが、過去を抱きしめつつ彼女なりに「どうしていきたいか」を意識していると思うんです。だからこそ、Liella!に加入する一歩を踏み出すことができたと思いますし、メイがラブライブ!優勝後に感じた気持ちは誌面にも書かれていました。

でも今は、弱い自分でいるヒマなんか、どこにもないんだ。
あのステージで見た光を。
熱すぎるくらいの本気を、追いかけていたいから。
そのために、今年も――

『LoveLive!Days 2023年10月号』 より

 Liella!に加入する前から胸の中で大切にされてきた熱さは、スクールアイドルとしてたくさんの経験をしていく過程でより強い情熱になっていったことでしょう。そして、メイの「譲れないもの」は、これからも彼女の中で信念として持ち続けていくものと思われます。3期では先輩として頑張る姿も期待されますが、恋のようにどこか不器用な側面も見られるかもしれません。そんなところも含めて、私は「譲れないもの」を持っているメイのことが大好きです。

 

 

 

⑥おわりに

 最後までご覧いただきありがとうございました!

 

 私はたくさん悩むメンバーが好きなので、メイのことはもともと気になっていました。茜心のリリース以降はメイについて考える時間も増え、最近ようやく当初から応援していた恋と併せて「推し」だと強く感じています。

 また、メイがセンターを務める影遊びでも大人になることへの葛藤などが感じられ、先日披露されたパフォーマンスをきっかけに、より好きになったような気がしています。大好きなメイの魅力とライブの感想を合わせて本記事とさせていただきました。

 歌詞の解釈は人それぞれ回答が異なるものと思われますが、本記事が茜心の魅力をお伝えする一助となっていれば嬉しいです。

 

 最後に、本記事を作成するにあたって参考にさせていただいた記事をご紹介して終わります。