素敵へと変わるその一歩

 こんにちは。のっぴです。

 

 カレンダーもめくられ、いよいよ今月から『ラブライブ!スーパースター!! Liella! 4th LoveLive! Tour 〜brand new Sparkle〜』が開催されます。3期の放送も控え今後に期待が尽きないところですが、そんな胸躍る展開の前に私の大好きな曲について少しだけ語らせてください。

 本記事のテーマは「Blooming Dance!Dance!」

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 特典曲という性質上なかなか聴く機会は多くありませんが、TVアニメでも描かれた2期生の成長を強く感じられる曲です。そして、何より私自身がリリース当初からずっと大好きな曲なので、本記事を通してその魅力を探索していきたいと思います。

 

 よろしければ最後までお付き合いください。

 

 

①はじめに

 本題に入る前に、まずは2期生の話から。

 2期の物語は、新設だった結ヶ丘女子高等学校に再び春が訪れるところから始まります。作品的にはかのんたちが東京大会で敗北しリベンジを誓った1期と地続きの物語ですが、2期から明確に変わったものとして文字通り2期生の存在が挙げられます。

 2期生は5人で活動していたLiella!のメンバーを9人へと増やし、グループに明確な変化をもたらします。春になると新入生がやって来るという変化は当たり前のことですが、かのんたちは当初新入部員についてあまり考えていなかったようです。

でも、ちょっと不思議な感じ。私、この5人で優勝を目指すのかと思っていたから。

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期 第1話「ようこそLiella!へ!」 より

 そして、それは私たちにとっても同じように感じられたのではないでしょうか。私もメンバーがいきなり9人になるなんて考えていませんでしたし、2期生が発表された当初は様々な議論が起こっていたのを記憶しています。

 しかし、変化=劣化とは限りません。TVアニメでも最初こそ1期生との実力差に葛藤する様子が描かれましたが、9人になったLiella!は去年の記録を超え見事ラブライブ!で優勝を勝ち取ることができました。その功績に2期生の力が必要だったのは、改めて言うまでもないでしょう。

 このように、2期生はLiella!に新たな風を呼び、彼女たちも1年を通して大きく成長する姿を見せてくれました。

 

 ところで、2期生は次の春がやってくれば2年生へと進級します。ラブライブ!シリーズに視野を広げてみると、これまで各作品の物語を牽引してきたのは2年生だったことが思い出されます。歩んできた道のりこそ異なりますが、μ’sには穂乃果が、Aqoursには千歌が、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会には歩夢がその中心として描かれていました。それぞれ主人公なのでフォーカスされるのは当然ですが、2年生という学年は1年生や3年生と比べて自信や余裕が芽生え、グループのエンジンになりえるものだと思うんです。

 TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』では、どちらかというとかのんを中心として物語が進んできましたが、「先輩がいる2年生」はかのんたち1期生ですら経験していません。先輩と後輩に挟まれることになる2期生は、受け取ってきたものを受け継いでいく立場にもなると考えられます。Blooming Dance!Dance!は、そんな2期生の今後に期待が高まる絶好のタイミングでリリースされました。

 

 

 

②一歩を踏み出す勇気

 Blooming Dance!Dance!では、悩みながらもスクールアイドル活動に夢中になっていく2期生の様子が描かれています。しかし、その始まりがつつがないものだったかというと、決してそんなことはありませんでした。スクールアイドルはメイを除いて知らない世界であり、Liella!へ加入するにあたり2期生が葛藤するシーンは記憶に新しいですね。

 しかも、これから加入しようとするのは、結成まもなくラブライブ!の東京大会まで勝ち進み、今年の優勝候補だなんて噂がささやかれるLiella!です。ただでさえ知らない世界なのに、これから飛び込もうとするグループにはレジェンドのごとく活躍した1期生がいるわけです。作中で言われていた通り、2期生が加入を躊躇するには充分すぎる理由でしょう。

 そして、その不安はキャストにとっても同じことがいえます。例えば、鈴原希実さんは以前インタビューにて加入当初の不安を語っていました。

ホントに生きた心地がしなかったというか。「2期生」という形で新たにメンバーとして加入するのがラブライブ!シリーズ史上で初めてということもあって、どういう反応がもらえるのか全然わからなかったので、すごく不安な気持ちでいっぱいで。

3rdツアー目前! Liella! 2期生フォト&インタビュー① 桜小路きな子役・鈴原希実 より

 新しい世界へ飛び込むことに対して不安を感じるのは、私たちにとっても一般的な感覚だと思われます。進学や就職で生活の環境が変わったり、何か新しいことを始めたりするときは、少なからず不安を感じるものではないでしょうか。

 鈴原希実さんの心情は想像するに余りありますが、メンバーとキャストのどちらも始まりの時に「完成されたグループに飛び込む不安」を感じており、これは2期生を考えるにあたって外せない要素だと思うんです。

 

ドキドキだった 不安も忘れるほど
はじめましての瞬間

 Blooming Dance!Dance!の歌詞にも「不安」という言葉が見られますが、こちらは「不安も忘れるほど」という表現になっています。一見難しく感じられる言い回しですが、「不安も忘れるほどのどきどき=胸の高鳴り」のように考えることができ、2期生がLiella!へ加入する前に感じていた不安が、自分の中でやりたいと思える理由を見つけ期待へと変化した表現だと思われます。

その手を握って飛びこんだセカイ
もっともっと素敵にしたい

 知らない世界へ飛び込むことに不安を感じていたとしても、勇気を出して一歩を踏み出したからにはずっと不安なままでいるわけにもいかないでしょう。

 そもそも、2期生にとって、スクールアイドルに誘われること自体は必ずしも彼女たちが望んだものとは限らないはずです。しかし、差し伸べられたその手を握ったのは、2期生自身がそれぞれ「スクールアイドルをやりたい」と思えたから。抱えた不安を乗り越え自らが踏み出した一歩だからこそ、その選択をより素敵にしたいと考えるんだと思います。

 

 

 

③もどかしさと楽しさ

アン・ドゥ・ドゥ!
ドゥ・ドゥ!
同じとこでつまずくもどかしい

 Blooming Dance!Dance!の歌詞では、いくつか特徴的な言い回しが見られます。その中でも特に印象的に感じられるのは、「アン・ドゥ・トロワ!」の表現でしょうか。「同じとこでつまずくもどかしい」という歌詞の通り、何度チャレンジしても「トロワ」へと進めない歯がゆい情景が思い浮かびますね。

 私がこの歌詞ですごく好きなところは、同じところでつまずいてしまうもどかしさを否定せず、そのうえでスクールアイドル活動の楽しさを見出しているところです。

でもなんだか 楽しいね
できる時を想うとわくわく
ほらもうすぐ アン・ドゥ・トロワ!

 思えば、2期の物語では「楽しい」という気持ちがとても大切にされていたように感じます。それは2期の挿入歌においても散見され、歌詞をのぞいてみるとビタミンSUMMER!以外のすべての曲で「楽しい」という言葉が使われていることも分かります。

 ビタミンSUMMER!に関しては、2期 第6話で「今日は思いっきり楽しんじゃおう!」というかけ声から始まるので、「すべての曲」と表現しても差し支えないかもしれません。

 スクールアイドル活動が楽しいだけのものではないことは周知の通りですが、楽しいという気持ちが根底にあるからこそ先へ進んでいく活力になりえると思うんです。壁にぶち当たって葛藤する様子は揺らぐわなどの曲でも見られますが、もどかしい思いをするたびに楽しさが背中を押してくれるのは、2期生にとってとても心強いものだったことでしょう。

 

 さて、Blooming Dance!Dance!の歌詞に登場する「アン・ドゥ・トロワ!」のかけ声はフランス語で「1.2.3!」という意味ですが、1.2.3!は1期生が「奇跡をおこす合言葉」として使っていたものでもありました。

奇跡をおこす合言葉は
いつも 1.2.3!

 1.2.3!とBlooming Dance!Dance!が直接関係のある曲だとは思いませんが、先輩のかけ声を受け継ぎつつも自分たちらしく「アン・ドゥ・トロワ!」と表現されているところに感慨深いものを感じます。

 今でこそレジェンドの1期生も、始まった頃は悩みつまずきの繰り返しでした。しかし、そのたびに練習を重ね、ときどき悔しさを噛み締めながらもスクールアイドル活動に楽しさを見出してきたはずです。その過程は2期生も同じであり、こうして芽生えた「楽しい」という気持ちは、2期生をスクールアイドル活動に夢中にさせるだけにとどまらず、彼女たちを大きく成長させることになります。

 

 

 

④曲中で見られる成長

 Blooming Dance!Dance!の歌詞において、1番と2番を比較するといくつか変化している箇所が見られます。

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 分かりやすいものとしては、赤色で示した「僕→僕ら」への変化、そして、青色で示した「ほらもうすぐ→ほらいくよ」への変化が挙げられるでしょうか。これらの変化は、曲中での時間の経過と2期生の成長を示唆しています。

 1番では「僕」にフォーカスされており、1人で試行錯誤しながら「ほらもうすぐ」できそうになることに期待している様子が感じられます。対して、2番では一緒に切磋琢磨する「僕ら」の存在が増え、競走しながら「ほらいくよ」というように、1番と比較してできるようになっている様子が感じられます。練習を重ねたり、仲間が増えたり、時間が経過して2期生自身のできることが増えていく様子はTVアニメで描かれた通りですね。

 

 また、変化という意味では、1番サビと大サビにも印象的な対比が見られます。

一歩踏みだすたび 花が咲くでしょう

一歩踏み出して 花を咲かせよう

 些細な変化のようにも見えますが、1番サビでは花が咲くことを予感しているように感じられるのに対して、大サビではまるで一歩を踏み出せば花が咲くことを知っているかのように感じられます。曲中での時間の経過と2期生の成長が示唆されていることを踏まえると、彼女たちの意識に変化が起きたものといえるでしょう。

 「花が咲く」という表現が何を意味しているのかについては様々な可能性が考えられますが、例えば、花がテーマになっている『リエラのうた』はヒントの1つになるかもしれません。他シリーズにおいても、歩夢の開花宣言という曲や、花帆の「花咲きたい!」という言葉に「花が咲く」という表現が見られますね。

 こういったヒントを踏まえると、「花が咲く」という表現は「夢を叶えて輝くこと」を象徴しているように感じてきます。

 

 2期生は、Liella!に加入してから1期生との実力差に悩みながらも、仲間と汗をかくスクールアイドル活動の楽しさを見つけていきました。そのうち、少しずつLiella!としても戦力になっていき、自分たちで定めた「Starlight Prologueを越える」という夢を叶えることができました。

 その夢を達成することができたのも、不安でも踏み出した最初の一歩があってこそだと思うんです。2期生は4人ともスクールアイドルにならない選択もあったはずですが、1人でも欠けていれば未来は大きく異なっていたことでしょう。

 このように、「一歩踏み出して 花を咲かせよう」という歌詞からは、2期生自身の成長を感じられるだけではなく、勇気を出して踏み出した一歩から夢を叶えた経験を持つ彼女たちだからこその強い説得力を感じさせます。これから先輩になりつつある2期生は、3期生ひいては私たちに「花を咲かせよう」と語りかけてくれているようにも感じますね。

 

 

 

⑤おわりに

 最後までご覧いただきありがとうございました!

 

 Blooming Dance!Dance!は特典曲ということもあり、まだ聴いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、名曲なのはもちろんのこと、挿入歌では歌われることのなかった2期生の4人が歌う曲ということもあり、リリース当初からずっと大好きで聴いていました。来るライブで披露されるかは分かりませんが、TVアニメの振り返りとライブへの期待を込めて本記事とさせていただきました。

 歌詞の解釈は人それぞれ回答が異なるものと思われますが、本記事がBlooming Dance!Dance!の魅力をお伝えする一助となっていれば嬉しいです。

 

 最後に、本記事を作成するにあたって参考にさせていただいた記事をご紹介して終わります。